2017年3月5日日曜日

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『漂景』山下寅彦


山下寅彦『漂景』,ほんの森出版社,1997

 日本各地の下町風景、というよりくたびれた街並みがカラーで収められている。写っている場所もさることながら、光の具合が実にいい。丁寧に時間をかけて撮られているのが伝わってくる。『レンズ汎神論』の飯田鉄さんあたりの写真が好きな人におすすめしたい。この時期に書籍の仕事で全国を回っていたようなので、出張で訪れたついでに自分の作品も作っておられたのではないか。

 神保町の某古書店の店先の、日当たりのいいラックにつっこんであって、表紙には「500円」と書かれた黄色い値札が貼り付けてあった。いくら見切り品とはいえこんなラベルの貼り方はないだろうと憤りつつ大事に持って帰った。

 とにかく知らない名前だったので、ネットでざっと検索すると近年は猫関係の写真集やカレンダーの仕事が好評のようだった。ただこういう本を出してるくらいだから、仕事に余裕ができたらシリアスな写真に戻ってくるのか、ひそかに撮りためているのか…と思っていたのだが。


























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2017年2月27日月曜日

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『One Billion Indians』Paolo Pellizzari

Paolo Pellizzari 『One Billion Indians』, 5 Continents Editions, 2006

 ベルギーの写真家Paolo Pellizzari によるインドのスナップ。全編レンズスイング式のパノラマカメラで撮っている。タイトルを「10億人のインディアン」としているように、インドにおける人種や文化の多様性を一枚の写真の中に表現しようという試みか。とにかく雑多なものが写り込んでいて面白い。

 インドの雑踏をぐるっと見回すようなアングルで撮られたものを見ていると、人間というのは地を這う動物なんだなあというか、宗教や人種が違うといっても地面にへばりつき、肩を寄せ合って生活するしかないということを改めて感じさせられる。…まあそういう個人の感想はともかく、絵柄の面白さは半端ないです。

 作者のPaolo Pellizzariはツールド・フランス、2002年のサッカーワールドカップなどを得意のパノラマカメラで撮影、多くの雑誌に写真を提供している。自転車レースもサッカーのようなグラウンドで行う球技も、左右に大きく展開した競技空間の中に、多くのドラマが同時並行で進行していく。こういう被写体こそレンズスイング式のパノラマカメラが得意とするものである。





















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2017年2月19日日曜日

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『Plates and Dishes: The Food and Faces of the Roadside Diner』Stephen Schacher

Stephen Schacher『Plates and Dishes: The Food and Faces of the Roadside Diner』, Princeton Architectural Press,  (2005)

 ニューヨーク、スイスを拠点に活動する写真家Stephan Schacherが、アメリカ全土のダイナーとそのカルチャーを記録した写真集。この企画を完遂するにあたって作者が自ら課したルールは行程中の食事はすべてダイナーでとること、出された料理とウェイトレスさんをすべて撮影するということの2点。特定の文化を網羅的に記録していくという手法は編集者っぽい感覚で、日本だと都築響一あたりがやりそうなネタである。
 
 料理はどれもおおざっぱでボリュームがある。ミントカラーのプラスチック皿やチェック柄のテーブルクロス、写真がグリーンかぶりしているものが多いことからして照明は蛍光灯。全米を回ってるのだからもう少しご当地メニューのようなものが見えてきそうなのだが、自分には判別はつかない。
 
 長距離トラックのドライバーが日常利用しているダイナーの料理となじみのウェイトレスさんを撮影するのと、通りすがりの旅行者が一件ずつ声をかけて撮影するのとでは、微妙に違ったものが撮れるんじゃないかと思いつつ、常連さんも一見さんも等しく受け入れて束の間の休息を提供してくれるのがダイナーの懐の深さである。
 
 逆に本来ファミリアであるはずのダイナーが、中に入った途端に賑やかな店内の会話が一瞬とまってこっちを睨まれるとか、逆にお客さんはいかれた感じの農夫ひとりでカウンターの奥で歌を歌っているとかみたいなシーンから始まると極上のホラーになる。スティーブン・キングとか、デビッド・リンチとかが好きそうなシチュエーションだ。

関連リンク
Stephen Schacher
作者のサイト http://www.platesanddishes.net/
photoeyeでの紹介ページ http://www.photoeye.com/bookstore/citation.cfm?Catalog=PP019





























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