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2017年2月27日月曜日

Published 23:09 by with 0 comment

『One Billion Indians』Paolo Pellizzari

Paolo Pellizzari 『One Billion Indians』, 5 Continents Editions, 2006

 ベルギーの写真家Paolo Pellizzari によるインドのスナップ。全編レンズスイング式のパノラマカメラで撮っている。タイトルを「10億人のインディアン」としているように、インドにおける人種や文化の多様性を一枚の写真の中に表現しようという試みか。とにかく雑多なものが写り込んでいて面白い。

 インドの雑踏をぐるっと見回すようなアングルで撮られたものを見ていると、人間というのは地を這う動物なんだなあというか、宗教や人種が違うといっても地面にへばりつき、肩を寄せ合って生活するしかないということを改めて感じさせられる。…まあそういう個人の感想はともかく、絵柄の面白さは半端ないです。

 作者のPaolo Pellizzariはツールド・フランス、2002年のサッカーワールドカップなどを得意のパノラマカメラで撮影、多くの雑誌に写真を提供している。自転車レースもサッカーのようなグラウンドで行う球技も、左右に大きく展開した競技空間の中に、多くのドラマが同時並行で進行していく。こういう被写体こそレンズスイング式のパノラマカメラが得意とするものである。





















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2017年2月15日水曜日

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『火车上的中国人』王福春

王福春『火车上的中国人』,上海锦绣文章出版社,2007

 「火車」とは中国語で列車のこと。ちなみに「汽車」は自動車の意味だ。本書は中国の列車の車内風景をスナップしたもの。同じような装丁で何冊が出ているシリーズの中の一冊で、紙質・印刷ともいまひとつ。もしかしたらオリジナルのもう少しいい装丁の本があるのかな。

 中国では今でも鉄道が長距離移動のメイン手段で、広い国土を何時間も、ときには何日もかけて移動することになる。道中は暇だし、中国人なので、周りの人とおしゃべりしたり、お湯をもらってカップ麺を作ったりして、思い思いの時間を過ごす。本書はそんな中国人の旅の横顔を記録し続けた王福春の仕事の集大成である。

 撮り始めた頃は街から街へ移動する人々の地域特性であったり、故郷へ錦を飾る人のノスタルジーであったり、同時代に生きる人々の風俗を記録するという側面が強かったのではないかと思うのだが、それを何年も続けているうちに急激に変貌を遂げる中国とそれに飲み込まれる人々の有り様をもアーカイブすることとなっている。素晴らしい仕事。

 作者の王福春は、元は中国の鉄道会社の職員で、広報の仕事でイラストなどを描いているうちに写真を撮り始め、1984年にはハルビン鉄道局の研究所専属のカメラマン、のち1998年に早期退職して現在のようなドキュメンタリの写真家となる。


関連サイト
中国画報の記事 日本語
http://www.chinapictorial.com.cn/jp/se/txt/2015-03/06/content_673674.htm
















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2017年1月29日日曜日

Published 8:19 by with 0 comment

『殉教の島 天草』宮崎喜一




宮崎喜一『殉教の島 天草』,私家本,1992年頃?

 私家版。天草というと海岸線まで迫る山、大小様々な島、漁港、隠れ切支丹。元のプリントからしてそうなのか特殊な印刷方法なのかちょっと分からないが、独特の風合い。高精細で暗部のトーンも良く出ている。

 メインテーマである隠れ切支丹について、ありきたりに遺構を取材して回るようなものではなく、草に埋もれる十字架の刻まれた墓石、すり減ったマリア像の石彫、ベールをかぶってお祈りをするおばあさん、和洋折衷っぽい祭壇(仏壇の奥にマリア様の肖像)などなど、現代の人々の中に根付く信仰を坦々と捉えることによって、かつてそこが隠れ切支丹の里であったことを見せていく。
 
 作者の宮崎さんは出版時地元市役所におつとめで連絡先まで記されている。経歴や肩書きからすると、地元のアマチュア写真界ではかなり名の知れた人だった様子。

 手許にある私家本の中でも特に気に入っている一冊。10年くらい前に京成八幡駅前の古書店で購入、最近になって神保町でもう一冊見つけたのでそれも購入。地元熊本の古書店で8000円くらいの値段がついているけど、探している人がいればそれくらい出すんじゃないか。




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