ニューヨーク、スイスを拠点に活動する写真家Stephan Schacherが、アメリカ全土のダイナーとそのカルチャーを記録した写真集。この企画を完遂するにあたって作者が自ら課したルールは行程中の食事はすべてダイナーでとること、出された料理とウェイトレスさんをすべて撮影するということの2点。特定の文化を網羅的に記録していくという手法は編集者っぽい感覚で、日本だと都築響一あたりがやりそうなネタである。
料理はどれもおおざっぱでボリュームがある。ミントカラーのプラスチック皿やチェック柄のテーブルクロス、写真がグリーンかぶりしているものが多いことからして照明は蛍光灯。全米を回ってるのだからもう少しご当地メニューのようなものが見えてきそうなのだが、自分には判別はつかない。
長距離トラックのドライバーが日常利用しているダイナーの料理となじみのウェイトレスさんを撮影するのと、通りすがりの旅行者が一件ずつ声をかけて撮影するのとでは、微妙に違ったものが撮れるんじゃないかと思いつつ、常連さんも一見さんも等しく受け入れて束の間の休息を提供してくれるのがダイナーの懐の深さである。
逆に本来ファミリアであるはずのダイナーが、中に入った途端に賑やかな店内の会話が一瞬とまってこっちを睨まれるとか、逆にお客さんはいかれた感じの農夫ひとりでカウンターの奥で歌を歌っているとかみたいなシーンから始まると極上のホラーになる。スティーブン・キングとか、デビッド・リンチとかが好きそうなシチュエーションだ。
関連リンク
Stephen Schacher
作者のサイト http://www.platesanddishes.net/
photoeyeでの紹介ページ http://www.photoeye.com/bookstore/citation.cfm?Catalog=PP019
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