「火車」とは中国語で列車のこと。ちなみに「汽車」は自動車の意味だ。本書は中国の列車の車内風景をスナップしたもの。同じような装丁で何冊が出ているシリーズの中の一冊で、紙質・印刷ともいまひとつ。もしかしたらオリジナルのもう少しいい装丁の本があるのかな。
中国では今でも鉄道が長距離移動のメイン手段で、広い国土を何時間も、ときには何日もかけて移動することになる。道中は暇だし、中国人なので、周りの人とおしゃべりしたり、お湯をもらってカップ麺を作ったりして、思い思いの時間を過ごす。本書はそんな中国人の旅の横顔を記録し続けた王福春の仕事の集大成である。
撮り始めた頃は街から街へ移動する人々の地域特性であったり、故郷へ錦を飾る人のノスタルジーであったり、同時代に生きる人々の風俗を記録するという側面が強かったのではないかと思うのだが、それを何年も続けているうちに急激に変貌を遂げる中国とそれに飲み込まれる人々の有り様をもアーカイブすることとなっている。素晴らしい仕事。
作者の王福春は、元は中国の鉄道会社の職員で、広報の仕事でイラストなどを描いているうちに写真を撮り始め、1984年にはハルビン鉄道局の研究所専属のカメラマン、のち1998年に早期退職して現在のようなドキュメンタリの写真家となる。
関連サイト
中国画報の記事 日本語
http://www.chinapictorial.com.cn/jp/se/txt/2015-03/06/content_673674.htm
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