Paolo Pellizzari 『One Billion Indians』, 5 Continents Editions, 2006
ベルギーの写真家Paolo Pellizzari によるインドのスナップ。全編レンズスイング式のパノラマカメラで撮っている。タイトルを「10億人のインディアン」としているように、インドにおける人種や文化の多様性を一枚の写真の中に表現しようという試みか。とにかく雑多なものが写り込んでいて面白い。
インドの雑踏をぐるっと見回すようなアングルで撮られたものを見ていると、人間というのは地を這う動物なんだなあというか、宗教や人種が違うといっても地面にへばりつき、肩を寄せ合って生活するしかないということを改めて感じさせられる。…まあそういう個人の感想はともかく、絵柄の面白さは半端ないです。
作者のPaolo Pellizzariはツールド・フランス、2002年のサッカーワールドカップなどを得意のパノラマカメラで撮影、多くの雑誌に写真を提供している。自転車レースもサッカーのようなグラウンドで行う球技も、左右に大きく展開した競技空間の中に、多くのドラマが同時並行で進行していく。こういう被写体こそレンズスイング式のパノラマカメラが得意とするものである。